若返りのビタミン「NMN」とは

NMNという言葉を最近美容雑誌でよく見かけませんか。

NMNは母乳、ブロッコリー、アボガド等に含まれる成分で、体内ではビタミンB3(ニコチンアミド)を材料として作られる成分です。長寿遺伝子群(サーチュイン遺伝子)を活性化する働きがあるとされ、2015年頃から欧米セレブの間で「若返りのビタミン」として注目されてきました。

ハーバード大学のデビット・A・シンクレア教授が自身の著書『LIFE SPAN 老いなき世界』の中で「NMN」についての研究結果を紹介。ヒトの年齢に換算すると80歳相当になるマウスに、一定期間NMNを投与した事で、20歳相当までに変化したという結果が話題となり、2020年に日本語版が発売されると国内でも非常に高い関心を集めています。

NMN(nicotinamide mononucleotide)

NMNが若返りにつながる仕組み

それではNMNが体の中でどのように若返りを促進しているのか、みてみましょう。

若々しさに重要なのは、“サーチュイン遺伝子”を活性化することです。老化や寿命を制御するとされることから、長寿遺伝子とも呼ばれています。このサーチュイン遺伝子の活性化に必要なのがNAD+(ニコチンアミドアデニンジヌクレオチド)という補酵素で、加齢とともに減少する事が報告されています。

NAD+は非常に不安定なため、そのまま摂取はできません。代わりに、NMNを摂ることで、ヒトの体内でNAD+に変換され、サーチュイン遺伝子を活性化することが報告されています。

NMNは加齢で失っていく生きるために必要な生体内物質を増やす成分

こちらのデータは、NMNを摂取したことによる血中のNAD+濃度の変化を研究した結果です。1日250mgのNMNを12週間摂取すると、プラセボと言って有効成分を含んでいない剤を摂取した群に比べNAD+が2倍の濃度に上昇することが報告されています。さらに、歩行速度や握力など運動機能の改善など、非常に有用なエビデンスが確認されています。

  • 1日あたり250mgのNMNを12週間経口摂取することで、NAD+および関連代謝物の血中濃度が上昇
  • NMNの経口摂取で、歩行速度の有意な改善が認められた
  • NMNの経口摂取で、30秒椅子立ち上がりテスト、左手握力において改善傾向が認められた

雑誌名:npj Aging (2022)8:5  論文タイトル:Chronic nicotinamide mononucleotide supplementation elevates blood nicotinamide adenine dinucleotide levels and alters muscle function in healthy older men  著者:Masaki Igarashi, Yoshiko Nakagawa-Nagahama, Masaomi Miura, Kosuke Kashiwabara, Keisuke Yaku, Mika Sawada, Rie Sekine, Yuichiro Fukamizu, Toshiya Sato, Takanobu Sakurai, Jiro Sato, Kenji Ino, Naoto Kubota, Takashi Nakagawa, Takashi Kadowaki & Toshimasa Yamauchi

NAD+は、各細胞の寿命をつかさどるテロメアや、生命の発電所ともいわれ、体内のエネルギーを生成するミトコンドリアも保護し、基礎代謝の向上も促すと言われています。

Mitochondriaミトコンドリア

新しい細胞をつくる
細胞を修復する
基礎代謝が上がる

Telomereテロメア

細胞分裂を繰り返す
寿命を延ばす

ですので、運動機能のみならず、NMNの摂取により、年齢を重ねることで衰える様々な器官、つまり「全身」で機能改善が期待されます。

器官改善内容
脳・神経認知機能・感覚機能向上
肝臓糖新生、脂肪消費促進
血管内皮細胞機能
心臓保護作用向上
免疫組織免疫機能向上、抗炎症
生殖器生殖能力向上
腎臓保護作用向上
膵臓インシュリン分泌促進=血糖値低下
筋肉インシュリン感受性改善

Imai,S.BiochimBiophysActa2009,1790,997-1004.
Honda,K.etal.,MetabEng2016,35,114-120.
Rajman,L.etal.,CellMetab2018,27,529-547.
Yoshino,M.etal.,Science2021.
Liao,B.etal.,JIntSocSportsNutr2021,18,54.

NMNはどうやって摂取する?

NMN含有量が多いと言われれる食品には、ブロッコリー・アボガド・枝豆などが挙げられます。ただし、一日に300㎎のNMNを摂取しようとすると、どの野菜でも大量に食べる必要があることが分かります。現実的には食品からの摂取は不可能なため、NMNを高配合したサプリメントが昨今注目されています。

NMNの含有量が多いと言われる野菜から
NMN300mgを補うとすると

  • ブロッコリー
    27~120Kg
    1,800~8,000房
    (1房15g換算)
  • アボガド
    19~83Kg
    110~480個
    (1個173g換算)
  • 枝豆
    16~64Kg
    6,400~25,600房
    (1房2.5g換算)
K. F. Millset al., Cell Metab24, 795-806 (2016).

摂取が難しく貴重なNMNですので、NMNの効果をサポートする成分を一緒に摂ることもお勧めです。

ブドウ若芽エキス

NMNと同じくサーチュイン遺伝子の活性化が報告されているエキスです。ポリフェノールの一種であるレスベラトロール類によるサーチュイン遺伝子の活性化が報告されています。

ケルセチン

多くのNAD+を体内に残すことができる成分です。ケルセチンはポリフェノールの一種で、野菜などに多く含まれる成分です。オートファジー(細胞中の余計なものを細胞自身が回収し、細胞の新陳代謝や栄養素のリサイクルを担うシステム)を高める効果が報告されています。オートファジーにより老化した細胞を除去することで、NAD+の分解酵素を抑制する効果が期待できます。

また、NMNだけでなく他の基本となる栄養素と合わせて摂ることで、さらなる健康増進にもつながります。自分に足りない栄養素、安心感を得られる商品を探し、NMNと一緒に摂取を初めてみてはいかがでしょうか。

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